フィラリアの予防時期が近づいてまいりました。
そのため、先月にご案内のDMを郵送させていただきました。
ご来院された中で
「知り合いの犬はもう飲ませているのに何故まだ飲ませないのか?」
「もう寒くて蚊もいないのに何故飲まなくてはいけないのか?」
「注射があるのに何故注射タイプを使わないのか?」
「何故血液検査が必要なのか?」
という質問を度々受けます。
以下、当院が採用している投薬期間と血液検査の意義、お薬の選択についてです。
投薬開始日と終了日の疑問について
まず、投薬時期なのですが、フィラリアの感染は気温に依存する、と言うことです。
計算式は下記になります。
HDU(Heartworm Development heat Unit)
「1日HDU」=1日の平均気温-14(臨界温度)
平均気温=(最高気温+最低気温)÷2
感染開始=1日HDUを加算して130を超えた日
感染収容=直近30日の合計HDUが130を切った時点
過去15年で福島市での最速の感染開始日は5/17です。
感染終了は10/25です。
上記の図の様にL1で吸血されたフィラリアの幼虫は蚊の中で2回脱皮します。(1~2週間かかります。)
L3で他の犬(感染元の犬にも)に感染をしますが、この時に予防薬が効くのかというと効果はありません。
更に2週間程度経ちもう一度脱皮してL4と言う幼虫になり、始めて予防薬(正確には駆虫薬)でフィラリアの幼虫が死にます。
その後、更に脱皮をしてL5になってしまうと予防薬は効かなくなってしまいます。
蚊の体内で2週間+犬の体で2週間=約1か月から
もちろん、最終投薬も10/25から約1ヶ月後の11月下旬もしくは12月の上旬に投薬をします。
ただし、お近くに工場などがあって1年中暖かく蚊の体内で成長できる気温が維持される場所がある、等の場合は通年投与も必要という事ですが、まだ過去7回投薬し、翌年の検査で陽性となった経験はまだありません。
ただし、6回で陽性は1頭経験があります。
血液検査について
投薬前に検査が必要なのは、感染してないかを確かめるためです。
感染している犬に予防薬を飲ませると体調を崩す、最悪の場合は大静脈症候群を起こす場合があるそうです。
当院の経験だと、去年余った薬(うちで処方したものではありません)を飲ませたら3日間食欲無く、元気もなくなった。と言う症例があります。
血液検査をするとフィラリア陽性と肝臓の数値が非常に悪くなっていました。
治療をして肝臓は落ち着いたのですが、レントゲンで確認された心拡大は治りません。
陽性だった場合は投薬を慎重にしなければいけませんし、その後の投薬期間を決める必要があります。
痛い思いをさせてて採血させていただくので、ついでに健康診断の一環で肝機能、腎機能、蛋白濃度、血糖値、血球計算をお薦めしています。
年齢の高い個体はもっと項目を増やす方が良いのですが、それは相談して決めています。
また、病気の症状がある個体については特殊検査も一緒にお薦めします。
予防薬の種類について
フィラリア予防薬は過去から色々な種類が発売されていて獣医師になりたての頃はモキシデクチンが発売された頃でした。
前時代?だと毎日飲む(食べる)フィラリア予防薬がありました。
殆どは「イベルメクチン(ノーベル賞が受賞されたお薬)」「ミルベマイシン」「モキシデクチン」が主成分です。
剤型は錠剤、ジャーキータイプ、滴下タイプ、注射剤です。
このお薬にノミ・マダニが配合されているオールインワンタイプも錠剤、ジャーキータイプ、滴下タイプがあります。
当院では錠剤かジャーキータイプか、まれに滴下タイプを使用しており、注射は使用しておりません。
飲み忘れもなくて便利なのですが、副作用報告が多く結構死亡例もあるみたいなので小心者の私はちょっと怖くて導入できません。
注射を導入してくれと言う意見が多数上がったら考え始めますが当分は導入しないと思います。
なお、これは私の意見なので導入している病院を否定や中傷する意図はございません。